1週間の株式相場振り返り(7月1日〜7月5日):雇用統計、そしてUSA!USA!USA!
今週はポルトガルの政局不安、エジプトのクーデターなど、国際的に不安を呼び起こすイベントが重なりましたが、今のところどちらの不安材料も短期間で解決見通しが立ち、市場は冷静に対処しています。
しかし金曜日に発表された雇用統計は米国経済の回復が鮮明であることを示し、市場はUSA最強とばかりに大きな反応を見せました。
ダウは今週1.52%の上昇、日経は4.63%の上昇となりました。この日経の上昇は主に円安効果でしょうが、金曜日の雇用統計でさらに円安が進みました。
特に雇用統計で著しく反応したのが米金利、金曜日1日で10年金利は20bp上昇し、そろそろ3%台が意識されるようなレベルになってきています。この金利上昇は、ぼちぼち各方面に影響を及ぼし始めています。
米週間住宅ローン申請指数は低下、金利上昇で需要減退 | マネーニュース | 経済指標 | Reuters
PIMCOの旗艦ファンド、6月は調査開始以来最大の流出超 | マネーニュース | 経済指標 | Reuters
6月7日 | 6月14日 | 6月21日 | 6月28日 | 7月5日 | 1週間変化率 | |
DJIA | 15,248.12 | 15,070.18 | 14,799.40 | 14,909.60 | 15,135.84 | 1.52% |
日経 | 12,877.53 | 12,686.52 | 13,230.13 | 13,677.32 | 14,309.97 | 4.63% |
WTI | 95.93 | 97.89 | 92.92 | 95.01 | 103.63 | 9.07% |
金 | 1,384.00 | 1,389.90 | 1,292.80 | 1,232.30 | 1,222.40 | -0.80% |
$/¥ | 97.53 | 94.22 | 97.69 | 99.00 | 101.22 | 2.24% |
€/¥ | 128.92 | 125.75 | 128.14 | 128.91 | 129.86 | 0.74% |
€/$ | 1.32 | 1.33 | 1.31 | 1.30 | 1.28 | -1.47% |
米金利 | 2.16 | 2.13 | 2.51 | 2.48 | 2.72 | 0.24% |
VIX | 15.14 | 17.15 | 18.90 | 16.86 | 14.89 | -1.97% |
また、1週間で原油は9%も上昇しており、これは当然エジプトのクーデターの影響です。特にスエズ運河絡みで厳戒態勢だ封鎖だという噂が今後も流れるだろう気もしますし、原油価格はさらに上昇&高ボラティリティになっていくでしょう。
為替は米国の強さを反映し、ほぼ全ての通過が対ドルで下落しています。ただし、今週は新興国だけでなく先進国も大きく下洛しおり、これは今週のECBやBOEの緩和に対してより積極的なコメントを発表したことが大きく影響しているのでしょう。
UPDATE 1-ECB理事会後のドラギ総裁の発言要旨 | マネーニュース | 経済指標 | Reuters
ドラキ総裁は、今回はじめて「金利へのバイアスが下向き」とするフォワードガイダンスを発表、また「主要なECBの金利が長期間にわたり、現行水準もしくはそれを下回る水準になると予想する」とコメントしています。
1$=XX(Currency) | 6月21日 | 6月28日 | 7月5日 | 6/21→6/28 | 6/28→7/5 | 累積 |
中国 Yuan (CNY) | 6.1375 | 6.1451 | 6.1378 | -0.1% | 0.1% | 0.0% |
香港 (HKD) | 7.7587 | 7.7568 | 7.7553 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
New Zealand (NZD) | 1.2898 | 1.2915 | 1.2971 | -0.1% | -0.4% | -0.6% |
Thai Baht (THB) | 31.135 | 31.055 | 31.293 | 0.3% | -0.8% | -0.5% |
韓国 Won (KRW) | 1156.4 | 1143.0 | 1152.8 | 1.2% | -0.9% | 0.3% |
Australia (AUD) | 1.0848 | 1.0934 | 1.1034 | -0.8% | -0.9% | -1.7% |
Singapore (SGD) | 1.2755 | 1.2684 | 1.2816 | 0.6% | -1.0% | -0.5% |
Indian Rupee (INR) | 59.276 | 59.535 | 60.251 | -0.4% | -1.2% | -1.6% |
Euro (EUR) | 0.7623 | 0.7679 | 0.7794 | -0.7% | -1.5% | -2.2% |
ロシア Rouble (RUB) | 32.888 | 32.839 | 33.335 | 0.1% | -1.5% | -1.3% |
Brazilian Real (BRL) | 2.2534 | 2.2259 | 2.2619 | 1.2% | -1.6% | -0.4% |
Turkish Lira (TRY) | 1.9373 | 1.9289 | 1.9670 | 0.4% | -1.9% | -1.5% |
Japanese Yen (JPY) | 97.825 | 99.190 | 101.215 | -1.4% | -2.0% | -3.3% |
Swiss Franc (CHF) | 0.9344 | 0.9447 | 0.9642 | -1.1% | -2.0% | -3.1% |
British Pound (GBP) | 0.6482 | 0.6568 | 0.6713 | -1.3% | -2.2% | -3.4% |
南ア Rand (ZAR) | 10.2200 | 9.8941 | 10.2019 | 3.3% | -3.0% | 0.2% |
(出所) Yahoo! Finance Currency Centerより作成
最後に統計値の振り返り、米国のISMはこれまでドル高を背景に製造業の指数が低下傾向にありましたが、6月に入り大きく改善しました。内訳でも雇用と受注残以外すべて改善しており、反発と見てよいでしょう。また雇用についてはADPや雇用統計で改善を確認済みです。
ユーロ圏については前回から特段変更はないです。
中国は国家統計局からPMIが発表され、HSBCとほぼ同様の傾向で悪化が継続していて中国はやはりマズイなという見通しは変わりません。
そういえば中国がらみで面白いコラムがありました。
コラム:貿易黒字の謎に潜む「宇宙人」 | ワールド | 中国 | Reuters
世界中の貿易額の総額は相互にキャンセルされるため、トータルでゼロになるはずがなぜか大きな黒字額が計上されているということです。その穴埋めは宇宙人と交易しているに違いないということですが、その正体は中国にあったというものです。
しかし統計値に嘘があると、こうやって数値を追っていても意味があるのかと思ってしまいますよね。ただコンスタントに水増ししてくれれば変化が重要となってくるのでその意味で価値があるのでしょう。
◆主要な統計値発表
- 6月 米非農業部門就労者数 195,000人 (5月 195,000人, 175,000人から上方修正)
- 6月 米雇用統計 失業率 7.6% (5月 7.6%)
- 6月ADP民間雇用者数 188,000人 (5月 134,000人)
- 6月 ISM製造業総合指数 50.9 (5月 49.0)
- 6月 ISM非製造業総合指数 52.2 (5月 53.7)
- 今週の米新規失業保険申請 343,000件 (先週 348,000件)
- 6月 ユーロ圏総合PMI 48.7 (速報値 48.9)
- 6月 ユーロ圏製造業PMI 48.8 (速報値 48.7)
- 6月 中国PMI(国家統計局) 50.1 (5月 50.8)
- 6月 中国非製造業PMI(国家統計局) 53.9 (5月 54.3)
- 6月 中国製造業PMI(HSBC) 48.2 (速報値 48.3)
- 6月 中国サービス部門PMI(HSBC) 51.3 (5月 51.2)
(出所) ロイターニュースより作成