oasismathの日記

趣味として楽しんでいる料理やワイン、家族がみんな大好きな音楽やダンスの話など、雑多なテーマについて書き綴るブログ。

千里阪急ホテルの婚礼プランメニュー、スパークリングワインを「シャンパン」と誤表記

素人ワインラヴァーにとって気になるニュースが入ってきました。

 

「シャンパン」、実はスパークリングワイン : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 

阪急阪神ホテルズ(本社・大阪市北区)は1日、直営する千里阪急ホテル(大阪府豊中市)の婚礼プランメニューで、スパークリングワインを「シャンパン」と誤った表記をしていたと発表した。 

卓上メニューには、スパークリングワインの商品名を入れて「シャンパン デュック ド パリ」「シャンパン ヴィニデルサ ドゥーシェ・シュバリエ ブリュット」と記していた。

 ホテルでの婚礼プランということで、当然料理はフレンチがあるだろうし、ワインを取り扱う上ではソムリエも(何らかの形で)関わってたはずなのに、この表記は何なんでしょう。

ちょっとでもワインに興味を持った人なら、スパークリングワインとシャンパンは混同してはいけないことは知っているはずです。ちなみにwikiでも簡単に調べられます。

 

一般には、仏シャンパーニュ地方で生産されたブドウのみを使い、瓶内二次発酵を行った上で封緘後15ヶ月以上の熟成を経た、いわゆるシャンパン製法の発泡ワインを指す。

近年では、フランスのAOC法が尊重され、AOCの規格に則って製造されたシャンパーニュ地方製の発泡ワインだけが、シャンパンと名乗ることを認められ、その他のフランス製発泡ワインはヴァンムスー(Vin Mousseux)と呼ぶ。 

 

ある程度組織で運営しているワインショップであれば、スパークリングワインをシャンパンと名乗ることは絶対に有りません。おそらくショップでは「シャンパーニュ方式と同じ製法で造られたもの」として、スペイン産、イタリア産、ドイツ産などなどがお手頃価格で売っているはずです。

それなのになぜ、このような基本的なことをワインを扱うプロであるホテル関係者が破ってしまうのでしょうか?

  1. 日本では一般的な呼称として、スパークリングワインのことをシャンパンと呼んでいるから固いこと言うなよ。
  2. フランスの法律だから日本は従う必要がないでしょ。
  3. 本音では、シャンパンのブランドネームを利用したかったんです、ごめんなさい。

 

1. につて気持はわからなくもないですが、これは素人なら許されるもののプロがやってはいけない行為だと思っています。むしろ一般の人に正しい知識を啓蒙しなければならない立場なのですから。このホテルで働いているソムリエがいたら、何らかの処分が下るべきであり、日本ソムリエ協会の信頼性に関わる問題だと思います。

 

2. については、言い分としてはあるかもしれませんが、これは著作権の問題と近い内容ではないでしょうか。特にシャンパンは、その名前にブランド価値が存在し、他のスパークリングワインと較べて値段が倍以上に違うものであり、そのような価値のあるものを他の国では勝手に名づけて良いという言い分は通らないと思います。ちなみにフランスは関連する名前を使った商品について抗議を行ったりしています。

 

3. 結局、このホテルが杜撰にもやってしまった行為は、自社に有利となるようなブランドネームの勝手な使用でしょう。記者会見のコメントで「料金によっては実際にシャンパンを提供していた」とありましたが、その料金プランはいくら位なんでしょう。そもそもワイン好き以外は本物のシャンパンを飲む機会はあまり無いでしょう。

最も一般的なシャンパンである「モエ・エ・シャンドン アンペリアル」でも、成城石井では4,500円の値段が付いています。ちなみにこれをレストランとかで注文すると倍の9,000円前後になり、常識的な人はまず注文しないでしょう。もし本当にシャンパンをコースのプランに出したら、一人あたり2万のコースじゃ収まらないんじゃないでしょうか?(ちなみに告白しますが、私の結婚式の料金プランは12,000円だったのではないかと思います。この値段でシャンパンが出ることは絶対にありません。)

 

その価値を知った上で(あるいはそのことを知っている人の忠告を無視した上で)”シャンパン”という表記を使ったホテルの責任はかなり重いのではないでしょうか?

 

そもそも出したワインの名前に”パリ”とか、下の方に”CAVA”とか書いてあるのに、その手前に”シャンパン”と書くなんて、無茶するにも限度ってものがあるでしょう。

 

企業としての意識の低さに、久しぶりに怒りが湧きました。