1週間の株式相場振り返り(11月18日〜11月22日):ダウが史上最高値更新中
米国経済が再び加速しています。
米国債務上限引上げ問題で米国議会がもたもたして世界中からヒンシュクを買いましたが、より高度な頭脳集団であるFRBの次期議長『イエレン』氏の鳩派発言以降、米株式市場はすこぶる好調です。
S&P500終値が初の1800ポイント台、バイオジェン急騰 | 米FRB特集 | Reuters
アトランタ地区連銀のロックハート総裁は22日、CNBCとのインタビューで資産買い入れ縮小について、12月17─18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で検討されるとの考えを示した。また量的緩和の縮小に着手した後もFRBの金融政策はかなりの期間、緩和的な公算が大きいとし、数年続く可能性があると述べた。
急激な金融引締めは行わないとの見通しが大勢となり、米金利もそれほど上昇しない結果、株式市場にすこぶる良好な風が吹いています。
そしてこの楽観的な風を大いに利用して、日本が誇る武者大先生が日本株を煽りまくっています。
日本株、前例なき3つのプラスアルファ上昇要因 ~始まった、長期上昇相場「第二の波」~ | 株式会社 武者リサーチ
アベノミクスによる「超円高」「長期デフレ」からの脱却により、2014年には日経平均は2万円超に上昇し、さらにその先のインフレの定着と改革の進展により、2020年東京五輪の頃には4万円、史上最高値更新の展望が開けてくるだろう。
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配当利回り2%、借金コスト0%という現実はレバレッジ50倍で日本株を買えば、1年の配当収入で投資元本が100%回収できるという、好投資環境。
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いよいよ世界経済の繁栄と日本一人負けの是正が同時進行する局面に入った。日本株が力強く上昇する条件がそろい、100年に一度というスケールの、ドラスティックな変化が起きようとしている、と考えられるのである。
個人的には、私も株式市場について楽観的な見通しを持っていますが、ここまで言われるとさすがに引いてしまい、ちょっとばかり株式の下落を期待してしまう悪魔な自分がいます。
さて、週間ベースの主要指数の動きです。ダウは最高値、日経平均も5月の高値に接近してきました。米株式相場が上昇すると、ドルの価値が高まりやすい結果、円は対ドルで下落し、金は大きく売られます。
10月25日 | 11月1日 | 11月8日 | 11月15日 | 11月22日 | 1週間変化率 | |
DJIA | 15,570.28 | 15,615.55 | 15,761.78 | 15,961.70 | 16,064.77 | 0.65% |
日経 | 14,088.19 | 14,201.57 | 14,086.80 | 15,165.92 | 15,381.72 | 1.42% |
WTI | 97.90 | 94.60 | 94.35 | 93.74 | 94.72 | 1.05% |
金 | 1,352.30 | 1,315.50 | 1,289.00 | 1,287.00 | 1,242.90 | -3.43% |
$/¥ | 97.41 | 98.72 | 99.09 | 100.20 | 101.29 | 1.09% |
€/¥ | 134.46 | 133.15 | 132.44 | 135.20 | 137.32 | 1.57% |
€/$ | 1.38 | 1.35 | 1.34 | 1.35 | 1.36 | 0.47% |
米金利 | 2.50 | 2.62 | 2.75 | 2.71 | 2.75 | 0.04% |
VIX | 13.09 | 13.28 | 12.90 | 12.19 | 12.26 | 0.07% |
お次は為替の動き。
ブラジル、トルコ、南アメリカなどリスキーな新興国への通貨の買戻しが見られています。単に米国一人勝ちでもなく、新興国にもポジティブな恩恵がもたらされるという意味がありそうです。
しかし中国のPMIが悪化したせいか、資源関連国と中国との貿易額の大きい日本が相対的にマイナスとなっています。
1$=XX(Currency) | 11月8日 | 11月15日 | 11月22日 | 11/8→11/15 | 11/15→11/22 | 累積 |
Brazilian Real (BRL) | 2.3187 | 2.3180 | 2.2843 | 0.0% | 1.5% | 1.5% |
Turkish Lira (TRY) | 2.0387 | 2.0292 | 2.0053 | 0.5% | 1.2% | 1.7% |
南ア Rand (ZAR) | 10.3403 | 10.1619 | 10.0730 | 1.8% | 0.9% | 2.7% |
Swiss Franc (CHF) | 0.9218 | 0.9148 | 0.9072 | 0.8% | 0.8% | 1.6% |
British Pound (GBP) | 0.6244 | 0.6204 | 0.6165 | 0.6% | 0.6% | 1.3% |
Euro (EUR) | 0.7482 | 0.7411 | 0.7376 | 1.0% | 0.5% | 1.4% |
韓国 Won (KRW) | 1065.7 | 1062.6 | 1061.7 | 0.3% | 0.1% | 0.4% |
香港 (HKD) | 7.7517 | 7.7531 | 7.7530 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
Indian Rupee (INR) | 62.565 | 62.844 | 62.855 | -0.4% | 0.0% | -0.5% |
中国 Yuan (CNY) | 6.0907 | 6.0919 | 6.0940 | 0.0% | 0.0% | -0.1% |
Singapore (SGD) | 1.2468 | 1.2463 | 1.2498 | 0.0% | -0.3% | -0.2% |
ロシア Rouble (RUB) | 32.672 | 32.573 | 32.746 | 0.3% | -0.5% | -0.2% |
Thai Baht (THB) | 31.485 | 31.592 | 31.815 | -0.3% | -0.7% | -1.0% |
日本円 (JPY) | 99.085 | 100.200 | 101.290 | -1.1% | -1.1% | -2.2% |
New Zealand (NZD) | 1.2125 | 1.1991 | 1.2207 | 1.1% | -1.8% | -0.7% |
Australia (AUD) | 1.0657 | 1.0671 | 1.0930 | -0.1% | -2.4% | -2.5% |
(出典) Yahoo! Finance Currency Centerより作成
最後は主要な経済指標。
フィラデルフィア地区連銀指数や中古住宅販売などは先月から悪化していますが、今の相場は株価が先行しているためあまり参考になりません。ちなみに週間ベースの新規失業保険申請件数は着実に減少していて、足元良い方向に向かっていると確認できます。
一方で、先月まで順調に思えていた中国PMIが悪化、ユーロ圏総合PMIも予想外に悪化したことは注意点です。米国経済が順調なら再び反転すると思いますが、頭の片隅にこれらの悪い情報を残しておきたいところです。
◆主要な経済指標の発表
- 11月 米フィラデルフィア地区連銀業況指数 6.5 (10月 19.8)
- 10月米中古住宅販売(季節調整後, 年率) 512万戸 (9月529万戸)
- 10月 米小売売上高 +0.4% (9月 0.0%)
- 今週の米新規失業保険申請 323,000件 (先週 344,000件)
- 11月 ユーロ圏総合PMI 51.5 (10月 51.9)
- 11月 中国製造業PMI(HSBC, 速報値) 50.4 (10月 50.9)
(出典) ロイターニュースより作成